離婚が成立する条件 法定離婚原因

離婚に同意しない場合がある理由

離婚に同意しない原因
お互いの夫婦関係が破綻しているのに、どうして離婚が成立しないか不思議に思う方もいるかもしれませんが、離婚を成立させるためには様々なハードルがあります。
離婚がスムーズに成立しない理由には、主に以下のような原因が多いようです。

  • ・お互いに中が険悪で話し合いが進まない
  • ・意地やプライドなどで一方が同意しない
  • ・親権の問題が決着できず離婚が成立しない
  • ・財産分与、慰謝料、養育費など金銭的取り決めが決まらない
  • ・相手が行方不明で離婚届けが書けない
このような理由により離婚が成立しない場合でも、「法定離婚原因」が有れば裁判を行い、強制的に離婚を成立させることが出来ます。

法定離婚原因とは

法定離婚原因
お互いの話し合いにより行われる「協議離婚」では、離婚が出来る条件が定められている訳ではなく、お互いに納得が出来れば離婚が成立する事になります。
「調停離婚」に関しても厳密には離婚が成立する条件は決められておらず、最終的にお互いが離婚に合意できれば離婚が成立する事になります。
これに対して「裁判離婚」では、法律により定められた離婚できる条件「法定離婚原因」が無ければ離婚を成立させることは出来ません。
裁判による離婚では法的な強制力があるため、それなりの理由が無ければ離婚が認めらないことになっています。

実際には裁判により離婚を成立させる方は離婚者全体の1~2%と少なく、裁判まではしたくないと考えている当事者も非常に多いと思われます。
そのような方には「法定離婚原因」は必要ないと考えがちですが、実際には法定離婚原因が必要ない「協議離婚」や「調停離婚」でも大きな影響を与えることが多くあります。
「協議離婚」や「調停離婚」では、お互いに円満に合意できることもありますが、残念ながら円満には合意できない場合も多くあります。
そのような時でも、「法定離婚原因」の証拠がある場合には、裁判を行っても不利な結果になるという考えから、「協議離婚」や「調停離婚」に応じる可能性が非常に高くなります。
法定離婚原因があるということは、裁判で有利になるだけでなく、協議や調停での離婚を有利に進めるための「武器」になると考えることが出来ます。

民法が定める「法定離婚原因」は次の5つになっており、一つでも満たしている場合は離婚を成立させれる可能性があります。

  • ・配偶者に不貞行為があったとき
  • ・配偶者から悪意で遺棄されたとき
  • ・配偶者の生死が3年以上不明なとき
  • ・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  • ・その他婚姻関係を継続しがたい重大な理由

配偶者に不貞行為があったとき
まずは不貞行為の意味をしっかり理解しておく必要があります。
民法でいう不貞行為とは、「配偶者があるものが、自由意思で配偶者以外の異性と性的関係を持つこと」と決められています。
つまり肉体関係がないデートやキスなどは、浮気であること考える方も多いですが、不貞行為としては認められないことになります。(このような場合には不貞行為には当てはまりませんが、程度によっては「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」とされる可能性はあります。)
このような不貞行為によって、婚姻関係が破壊されたといえる場合には、離婚が成立する事になります。
ただし、既に別の原因で婚姻関係が破綻していた後に行われた不貞行為の場合には、不貞行為が原因で婚姻関係が破壊されたとは考えられないため、離婚はできないことになります。
そのため、別居をした後に行われた不貞行為では、離婚が成立しない場合が多いようです。
良くある質問の一つですが、風俗などで行われた不貞行為であっても、離婚が認められる場合は多いようです。
レイプや強姦の被害など合意がない性交渉に関しては、不貞行為としては認められず離婚が成立することはありません。
配偶者から悪意で遺棄されたとき
夫婦は同居協力扶助義務という義務(民法752条)を負っていますが、この義務を正当な理由なく果たさないのが悪意の遺棄にあたります。
具体的には、配偶者との同居を拒んだり、夫婦間の協力をしない行為、配偶者と同一程度の生活を保障してくれない場合や、家から追い出すなどの行為が当てはまると考えられます。
ここで重要になる部分は、「正当な理由があったか」の部分になります。
仕事で単身赴任をしている場合や、事故・病気で仕事が出来ず生活費を渡せない場合は、正当な理由と考えられるため悪意の遺棄には当たらないと思われます。
配偶者の生死が3年以上不明なとき
配偶者の最後の消息があったときから、3年以上生死不明である場合には離婚ができます。
家から出て行ってどこに住んでいるのか分からない場合や、夫婦喧嘩などで別居し所在が分からくなった場合など、生存していることが分かっている場合には生死不明には当たりません。
ここで言う生死不明とは、あらゆる手段を尽くしたが、生死すらわからなかった場合になります。
連絡を取っていないだけの行方不明の場合や、相手を探していない行方不明の場合には、離婚を成立させることは出来ません。
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
民法では配偶者が強度の精神病に掛かり、回復の見込みがない場合には離婚できると定められています。
強度の精神病かどうかや回復の見込みがないかは、精神科の医師の診断が必要になり、最終的には裁判官が認定することになります。
ただし全ての場合で離婚が認められる訳ではなく、「病者の今後の療養や生活などについて、できる限りの具体的方途を講じ、ある程度において前途にその方途の見込みのついたうえでなければ、離婚の請求は許されない」としています。
簡単に言うと、「離婚後の配偶者の生活の世話や金銭などの目途を立てなければ離婚できない」ということになります。
婚約者の方の面倒を見たいが(金銭的にも)、子供や自分のために再婚を考えている場合などに利用される場合があります。
その他婚姻を継続しがたい重大な事由
いわゆる一般条項といわれているもので、上記の具体的な離婚原因にあたらない場合であっても、「婚姻関係が破綻して回復の見込みがない場合」には離婚が認められる場合があります。
非常に抽象的な項目になりますが、過去の判例により次のような場合は離婚が認められる場合があります。
  • ・暴力や虐待など(DV被害)
  • ・性交不能、性交拒否、性的異常(セックスレス)
  • ・過度な浪費、薬物中毒、アルコール中毒
  • ・勤労意欲の欠如(健康であるのに労働の意欲がない場合)
  • ・性格の不一致
  • ・犯罪行為、服役
  • ・過度の宗教活動
  • ・配偶者の親族との不仲
これらの問題があった場合でも、全て離婚が成立する訳ではありません。裁判では「全ての状況に照らして考察し、この事柄が婚姻を継続し難い重大な事由に当たるのか」を判断するためです。
そのため配偶者のことを嫌いになったり性格が合わないなどの理由では、離婚は成立しないと考えられます。